2015年1月30日 サラダごぼうの種の放射線照射って大丈夫なの?の質問に答えます
先日、お客様から、ネットでサラダごぼうの種は放射線あてて作るって、騒ぎになってるけど
小島農園の種は大丈夫なの?の質問を受けました。どこのネットで騒ぎかは分からないので
この際blogで答えておこうと思います。
まず、質問に答える前に、そもそも放射線を照射する種作りって本当にあるのか?
あります。
では、なんのために?
品種改良の技術の一つとなっています。
品種改良なんているの?自然が一番!ナチュラルで行ってよ!まーそうですが
もし品種改良が無かったらどうなっているか?
みんながよくたべる野菜を例にして見ましょう(他にも諸説ありますが)
キャベツ(野生種)→ケール(栽培種)「ケルト人が育てたのでこう呼ばれる
①→ブロッコリー→カリフラワー
②→コールラビ→芽キャベツ→葉牡丹→紫キャベツ→結球キャベツ(今のキャベツ)
これは、キャベツの歴史です。よく食べるキャベツよりも、
紫キャベツやブロッコリーやカリフラワーのが古いのです。意外ですか?
ただ、問題はそのことではなく、品種改良を否定すると、みんなはキャベツの野生種
もしくは、せいぜいケールしか食べられなくなります。
それどころか、トマト、ジャガイモ、にんじん、米、小麦などの我々がスーパーなどで
よく見かける野菜たちは品種改良によってできあがったものです。
品種改良は、こうした新種の野菜を作る目的以外にも、
(1)食糧の増産・安定的生産のための改良
(2)生活を豊かにするための観賞用植物の改良
(3)環境の保全・修復・浄化のための改良
となりますが、近年は③がクローズアップされてます
パッと思い浮かべても”ゆめぴりか”ロマネスコ”やら品種改良によって
おいしい米や野菜をたべているわけです。
続いて、品種改良にはどんな種類があるのか?
1:交雑育種法
まず2つの異なる品種を交配し、雑種を作ります。作られた雑種同士でランダムに交配させ、
目的の形質を持っている系統を選抜します。目的の形質をもっている系統が見つかると、
あとはひたすらそれ同士を交配します。このひたすら交配するプロセスを固定といいます。
この固定により、遺伝子が安定します。品種改良におよそ10年かかります。
この方法が現在一番用いられる育種の方法です。
2:マーカー支援選抜(MAS)
1の発展系で1だと最後まで育てて、種をとるためものすごく長くかかりますが
調べたい系統の種を植えて、出てきた芽からDNAをとって鑑定をすることで、
すぐに結果を得ることが出来ます。
3:突然変異育種法
放射線や化学物質を用いて突然変異を起こさせ、有用な形質の変化が起こった
個体を選抜します。茨城県にはガンマーフィールドと呼ばれる
農業生物資源研究所の放射線育種場があり、日々突然変異の作出が行われています。
4:倍数性育種法
染色体の数を通常よりも増やすことで、実を大きくしたり、種をつけなくする
といった改良ができます。種無しスイカなどがこれにあたります
5:遺伝子組換え法
野菜の栽培で有用な遺伝子を人工的に導入し、野菜に様々な能力を獲得させます。
日本では賛否あり、あまり利用されていませんが、アメリカでは主流です。
除草剤耐性を持った大豆やトウモロコシ、殺虫剤の成分を野菜自身が作り出すことの
出来るトウモロコシなどがあります。
とここまでを押さえた上で、ここからようやくサラダごぼうです。(長くてすみません)
”ごぼう”キク科の品種でありますが、ゴボウなどは変異の幅があまり広くないので
1や2による新しい品種の育成は無理とされてきました。
柳川採種研究会が3にチャレンジ。ガンマーフィールド研究所にて実験し、
放射線を照射して遺伝子に傷を付けると短くなるということがわかり、
短い新品種が生まれました。
なんだ!やっぱり種に放射線あててるじゃん!やばいやばい!って?
どうせ、国が安全とかいってるんでしょ!そんなん信じないから!
てことになりますよね。特に、放射能を気にする方々はアレルギー反応かと
思います。
でも、この放射線を毎回種にあてて販売しているわけではないのです。
それに、そんなことをしいていては種の値段がとんでもない高いものになるしね。
では、どうやっているかを書いていきますね。
種子への放射線照射後に、育った個体から多数の種子を取って蒔き、
M2世代では20万本を越える個体から選抜をはじめ、5年目にM5世代で
3系統に絞り込んでいる。と柳川採種研究会のホームページにのっていますし
僕も、気になってTELしたら、やはり同じ回答がかえってきました。
1970年に一回あて、最後は20年前にあてて、もう一度品種改良している。
それにより、短くてアクのないサラダごぼうができあがった。
簡単に言うと、親になる種を何十万個か用意していろんなパターンで放射線をあてます
それを植えて、育て、短くてあくのないごぼうができたものの種をとり、それをまたそだて
を繰り返す。コバルト照射は最初の一回だけです。
キク科はイネと同じように自殖性ですから、良い組み合わせの雑種が一株でも生まれれば、
それを殖やして新品種が誕生するわけです。
で、タキイやサカタで名前を変えて販売していても、元はみんな一緒です。OEMですね。
5の遺伝子組み換えだと、この固定化が難しく、何世代かで元にもどることがあるそうで
ごぼうの品種改良は、3しかないと思います。
こうかいても、なんか嫌!って人もいますよね。
では、人間に置き換えてみましょう。
不幸なことに被爆してしまった人、例えば広島の原爆投下。福島の原発事故。
その人がちょうどおなかに子供がいるタイミングだったとします。
生まれた子が成長し結婚。その子供が成長し結婚。その子供が成長し結婚。
その子供が成長し結婚し、子供がうまれました。これで5世代立ちました。
その5世代目の娘さんとあなたの息子さんが結婚したいといったら、どうします?
やめとけ!あいつは原爆の子だ!といってやめさせる?
なかにはそういう考えの方もいるかもしれませんが、
僕は「あほらしい!全く気にならない!なにいってまんねん」と思うのです。
以前じゃがいもにコバルト照射で芽をでなくするときにも話しましたが、
自分の中で基準を持つことです。やっぱり、だめなのかいいのかを。
そんな娘と結婚はさせられないと思えば、やめたほうがいいですし、OKと思えば
結婚を了解すればいいのです。ごぼうもしかりです。
小島農園は是々非々で物事を考えます。さらだごぼうは、ごぼう特有のアクがなくて
サラダでたべれて、丈も短く扱いやすい。今後も作り続けます。
柳川採種研究会の仕事の大変さもわかっていますからね。
余談ですが、完璧に固定化されたサラダごぼうの種ですから、種を取って植えれば
完全にいいものが翌年も出来てしまいます。でも、このことは禁止事項です。
それをされては、開発者の権利が守られません。
「品種登録制度」というものでしっかりまもられているため、僕らも絶対にしないし
お蔭様といつもリスペクトしています。
あーメッチャ長い文章になってしまった(汗)誰も全部は読まないとは思いますがww
聞きたいことがあれば、質問くださいね!
では、ごきげんよう!さようなら(古すぎてパクリも伝わらない)
小島農園の種は大丈夫なの?の質問を受けました。どこのネットで騒ぎかは分からないので
この際blogで答えておこうと思います。
まず、質問に答える前に、そもそも放射線を照射する種作りって本当にあるのか?
あります。
では、なんのために?
品種改良の技術の一つとなっています。
品種改良なんているの?自然が一番!ナチュラルで行ってよ!まーそうですが
もし品種改良が無かったらどうなっているか?
みんながよくたべる野菜を例にして見ましょう(他にも諸説ありますが)
キャベツ(野生種)→ケール(栽培種)「ケルト人が育てたのでこう呼ばれる
①→ブロッコリー→カリフラワー
②→コールラビ→芽キャベツ→葉牡丹→紫キャベツ→結球キャベツ(今のキャベツ)
これは、キャベツの歴史です。よく食べるキャベツよりも、
紫キャベツやブロッコリーやカリフラワーのが古いのです。意外ですか?
ただ、問題はそのことではなく、品種改良を否定すると、みんなはキャベツの野生種
もしくは、せいぜいケールしか食べられなくなります。
それどころか、トマト、ジャガイモ、にんじん、米、小麦などの我々がスーパーなどで
よく見かける野菜たちは品種改良によってできあがったものです。
品種改良は、こうした新種の野菜を作る目的以外にも、
(1)食糧の増産・安定的生産のための改良
(2)生活を豊かにするための観賞用植物の改良
(3)環境の保全・修復・浄化のための改良
となりますが、近年は③がクローズアップされてます
パッと思い浮かべても”ゆめぴりか”ロマネスコ”やら品種改良によって
おいしい米や野菜をたべているわけです。
続いて、品種改良にはどんな種類があるのか?
1:交雑育種法
まず2つの異なる品種を交配し、雑種を作ります。作られた雑種同士でランダムに交配させ、
目的の形質を持っている系統を選抜します。目的の形質をもっている系統が見つかると、
あとはひたすらそれ同士を交配します。このひたすら交配するプロセスを固定といいます。
この固定により、遺伝子が安定します。品種改良におよそ10年かかります。
この方法が現在一番用いられる育種の方法です。
2:マーカー支援選抜(MAS)
1の発展系で1だと最後まで育てて、種をとるためものすごく長くかかりますが
調べたい系統の種を植えて、出てきた芽からDNAをとって鑑定をすることで、
すぐに結果を得ることが出来ます。
3:突然変異育種法
放射線や化学物質を用いて突然変異を起こさせ、有用な形質の変化が起こった
個体を選抜します。茨城県にはガンマーフィールドと呼ばれる
農業生物資源研究所の放射線育種場があり、日々突然変異の作出が行われています。
4:倍数性育種法
染色体の数を通常よりも増やすことで、実を大きくしたり、種をつけなくする
といった改良ができます。種無しスイカなどがこれにあたります
5:遺伝子組換え法
野菜の栽培で有用な遺伝子を人工的に導入し、野菜に様々な能力を獲得させます。
日本では賛否あり、あまり利用されていませんが、アメリカでは主流です。
除草剤耐性を持った大豆やトウモロコシ、殺虫剤の成分を野菜自身が作り出すことの
出来るトウモロコシなどがあります。
とここまでを押さえた上で、ここからようやくサラダごぼうです。(長くてすみません)
”ごぼう”キク科の品種でありますが、ゴボウなどは変異の幅があまり広くないので
1や2による新しい品種の育成は無理とされてきました。
柳川採種研究会が3にチャレンジ。ガンマーフィールド研究所にて実験し、
放射線を照射して遺伝子に傷を付けると短くなるということがわかり、
短い新品種が生まれました。
なんだ!やっぱり種に放射線あててるじゃん!やばいやばい!って?
どうせ、国が安全とかいってるんでしょ!そんなん信じないから!
てことになりますよね。特に、放射能を気にする方々はアレルギー反応かと
思います。
でも、この放射線を毎回種にあてて販売しているわけではないのです。
それに、そんなことをしいていては種の値段がとんでもない高いものになるしね。
では、どうやっているかを書いていきますね。
種子への放射線照射後に、育った個体から多数の種子を取って蒔き、
M2世代では20万本を越える個体から選抜をはじめ、5年目にM5世代で
3系統に絞り込んでいる。と柳川採種研究会のホームページにのっていますし
僕も、気になってTELしたら、やはり同じ回答がかえってきました。
1970年に一回あて、最後は20年前にあてて、もう一度品種改良している。
それにより、短くてアクのないサラダごぼうができあがった。
簡単に言うと、親になる種を何十万個か用意していろんなパターンで放射線をあてます
それを植えて、育て、短くてあくのないごぼうができたものの種をとり、それをまたそだて
を繰り返す。コバルト照射は最初の一回だけです。
キク科はイネと同じように自殖性ですから、良い組み合わせの雑種が一株でも生まれれば、
それを殖やして新品種が誕生するわけです。
で、タキイやサカタで名前を変えて販売していても、元はみんな一緒です。OEMですね。
5の遺伝子組み換えだと、この固定化が難しく、何世代かで元にもどることがあるそうで
ごぼうの品種改良は、3しかないと思います。
こうかいても、なんか嫌!って人もいますよね。
では、人間に置き換えてみましょう。
不幸なことに被爆してしまった人、例えば広島の原爆投下。福島の原発事故。
その人がちょうどおなかに子供がいるタイミングだったとします。
生まれた子が成長し結婚。その子供が成長し結婚。その子供が成長し結婚。
その子供が成長し結婚し、子供がうまれました。これで5世代立ちました。
その5世代目の娘さんとあなたの息子さんが結婚したいといったら、どうします?
やめとけ!あいつは原爆の子だ!といってやめさせる?
なかにはそういう考えの方もいるかもしれませんが、
僕は「あほらしい!全く気にならない!なにいってまんねん」と思うのです。
以前じゃがいもにコバルト照射で芽をでなくするときにも話しましたが、
自分の中で基準を持つことです。やっぱり、だめなのかいいのかを。
そんな娘と結婚はさせられないと思えば、やめたほうがいいですし、OKと思えば
結婚を了解すればいいのです。ごぼうもしかりです。
小島農園は是々非々で物事を考えます。さらだごぼうは、ごぼう特有のアクがなくて
サラダでたべれて、丈も短く扱いやすい。今後も作り続けます。
柳川採種研究会の仕事の大変さもわかっていますからね。
余談ですが、完璧に固定化されたサラダごぼうの種ですから、種を取って植えれば
完全にいいものが翌年も出来てしまいます。でも、このことは禁止事項です。
それをされては、開発者の権利が守られません。
「品種登録制度」というものでしっかりまもられているため、僕らも絶対にしないし
お蔭様といつもリスペクトしています。
あーメッチャ長い文章になってしまった(汗)誰も全部は読まないとは思いますがww
聞きたいことがあれば、質問くださいね!
では、ごきげんよう!さようなら(古すぎてパクリも伝わらない)
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